「焼きたてを届けたい」の先にあったもの — シリーズ総括

「焼きたてを届けたい」の先にあったもの — シリーズ総括

この10日間、私たち鎌倉ベーカリーは9本の記事を通して、ひとつの願いをたどってきました。「焼きたてを届けたい」。ただそれだけの、パン屋にとってはごく当たり前の願いです。ですが、この願いを突き詰めていくと、思っていた以上に遠くまで話が広がっていきました。最終回となる今回は、9本の記事を振り返りながら、その広がりがどこから来たものなのかをお話しします。

9つの記事でたどってきた道のり

まず、ここまでの9本を、それぞれ一文で振り返ります。

①窯から出た瞬間から焼きたてが失われていくという、作り手として長く抱えてきた矛盾に気づいたこと。②その答えとして、約8割まで焼いて止め、−40℃で急速冷凍し、最後のひと焼きをご家庭に託す「焼きたてになるパン」という発想にたどり着いたこと。③通販の商品すべてがこの製法というわけではなく、パーベイク・完全焼成タイプの冷凍パン・生パンを用途に応じて使い分けていること。④長く保存できる形にしたことで、焼いた当日に売り切る必要がなくなり、それが食品ロスを減らす方向にもつながり得ると気づいたこと。⑤実店舗という本業の上に、通販、そして業務用・イベント向けの供給へと、届け先そのものが広がってきたこと。⑥パン屋が「焼いた当日に売り切る」前提で作り続ける限り、売れ残りは構造的に生まれてしまうということ。⑦長期保存できるからこそ計画的に届けられる特性が、子ども食堂やフードバンクとの相性の良さにつながるのではないかと、私たちが考え始めていること。⑧備蓄用の特別な食品を買って忘れるのではなく、日常で食べながら買い足す「ローリングストック」という循環に、冷凍パンを組み込めるのではないかということ。⑨大量でも計画的に届けられる特性が、学校行事や地域のバザーなど、必要な数量が読みにくい現場でも使いやすいということ。

私たちは、社会的な意義を目指して始めたわけではありません

ここではっきりさせておきたいことがあります。私たちは最初から「食品ロスを減らそう」「地域や福祉の役に立とう」と考えて、この製法にたどり着いたわけではありません。出発点は①でお話しした通り、ただ「焼きたてを届けたい」という、作り手としての願いでした。その願いを叶えるために−40℃の急速冷凍とパーベイクという製法を選び、結果として長く保存できるパンができた。その「長く保存できる」という性質を見つめ直したときに、はじめて④以降でお話ししたような広がりが見えてきたのです。順番でいえば、焼きたてを追いかけた結果として、社会的な意味合いが後からついてきた、ということになります。

これは正直に書いておくべきことだと思っています。⑦でお話しした子ども食堂やフードバンクとの関わりも、⑨の学校や地域行事への供給も、現時点では具体的な実績があるわけではなく、まだ私たちが「これから取り組みたい」と考えている構想の段階です。実績がないことを取り繕うのではなく、まだ始まっていないけれどこう考えている、とありのままお伝えするほうが、私たちにとっても誠実な向き合い方だと思っています。

根っこは変わらず「焼きたて」にある

食品ロス、ローリングストックという日常の備え、学校や地域行事への供給。こうして言葉にすると、それぞれ別々のテーマのようにも見えます。ですが私たちの中では、これらはすべて同じひとつの根っこから伸びてきた枝です。窯から出た瞬間の焼きたてを、できるだけそのままの形でお客様に届けたい。その願いのために選んだ約8割焼成と−40℃急速冷凍、そして冷凍保存で60日以上という形が、結果として計画的な製造を可能にし、食べたい時に食べられる暮らし方を生み、必要な分だけ必要な場所に届けるという広がりにつながりました。私たちが本当に大切にしてきたのは、最初から最後まで、この「焼きたて」という一点だけです。

まずは1個、私たちの「焼きたて」を試していただきたい

ここまで9回にわたってお話ししてきた発想と工夫のすべては、ご家庭のトースターでの約5分という、ささやかな最後のひと手間に詰まっています。まだ召し上がったことのない方には、初回お試しセット(¥1,980・全9個・送料無料・お一人様1回限り)をご用意しています。単品は1個85円からご購入いただけます。私たちがどのような思いでこの事業を続けてきたかは、物語ページでも、パーベイクの仕組みについてはパーベイクとはのページでご紹介しています。まとまった数量をお探しの方は、業務用・大量購入のご相談窓口もご利用いただけます。

→ 初回お試しセットを見る(¥1,980・送料無料)

よくある質問

このシリーズは全部で何本あったのですか?

7/27から8/5にかけての全10本のシリーズでした。焼きたての矛盾から始まり、製法の答え、製法の使い分け、食品ロスや地域とのつながり、備えの話、そして届け先の広がりまでを、それぞれ角度を変えてお話ししてきました。

食品ロス削減や子ども食堂への支援は、もう始まっているのですか?

子ども食堂やフードバンクとの連携、学校や地域行事への本格的な供給については、現時点で具体的な実績があるわけではありません。これから取り組んでいきたいと考えている構想の段階です。

結局、鎌倉ベーカリーが一番大切にしていることは何ですか?

窯から出た瞬間の「焼きたて」を、できるだけそのままの形でお客様に届けることです。食品ロスや地域とのつながりといった話も、すべてこの願いを追いかけた結果として見えてきたものです。

文: 鎌倉ベーカリー(焼きたてジャーナルについて

最終更新: 2026-08-05

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